狩猟の魅力と自然との共生
自然の中で生まれ、育ち、暮らしていく日本人にとって、狩猟は古来から続く大切な文化です。
しかし、現代の生活は都会の喧噪に囲まれ、自然との触れ合いを失いがち。
そこに疑問を持ち、実際に狩猟を通じて新たな生き方を模索したのが著者の辺土正樹さんです。
彼は東京から岡山へ移住し、狩猟免許を取得後、果敢に山の獣と向き合います。
このレビューでは、辺土さんの著書『山の獣を獲って、解体し、おいしく食べる!』を通じて、狩猟の魅力やその奥深さ、さらには自然との共生について考えていきます。
動物を捕まえ、食べることがどれほど意味のある行為か。
生け捕り狩猟に挑む彼の苦闘と成長を知ることで、私たちもまた自然との関係性を深めていくことができるのではないでしょうか。
移住してわな猟をはじめる
著者は都市生活に疲れ、岡山に移住後、わな猟に挑戦します。
狩猟の免許を取るだけでも一苦労、それでも自然の中での生活に憧れを抱き、彼は新たな挑戦を決意。
最初は何の知識も経験もなく、試行錯誤が続きます。
彼が感じるのは、山の厳しさ、獣の賢さ、そして自然の美しさです。
わな猟を始めた彼は、初めは捕まえた獣の肉が美味でなかったことに悩みます。
おいしい肉を得るためには、より高度なテクニックが必要であると痛感しました。
そこで彼は「生け捕り」に挑戦することを決意します。
この方法は、獲物に対する理解を深め、獣に対しても一層の敬意を払うことが求められます。
捕まえられた獣も無駄にせず、しっかりと解体し、食べることで、命の循環を実感することができます。
彼の経験は、皆さんにも伝わってきます。
最初は恐怖が勝り、獣と対峙する際には心臓が高鳴ります。
それでも、彼は一歩ずつ自然の中での生活を楽しみ、成長していきます。
この移住の過程は、単なる職業選択や趣味の範疇を超えて、彼自身の人生観を変える重要な転機となりました。
狩猟で変わる心と体
狩猟は単なる肉を取る行為ではありません。
著者が体験したように、狩猟を通じて心と体がどのように変わっていくのか、その深い部分に注目してみましょう。
彼は狩猟の過程で、肉体的にも精神的にも大きな変化を遂げます。
まず、身体的には山中での活動を通じて、体力がつき、筋肉も鍛えられます。
日常生活では絶対に味わえないような厳しい環境での労働によって、彼の体はしっかりとしたものになっていきます。
さらに、狩猟のために必要となる知識や技術を身につけていくことで、自信が芽生えます。
一方で、精神面では、狩猟の活動を通じて「命をいただく」ことの意味を深く理解するようになります。
これまでのように、スーパーで肉を買う際の「当たり前」が覆されます。
獣を捕らえ、その命をいただくことの重みを感じ始め、彼は獣に対する畏敬の念を抱くようになります。
この変化は、ただ単に狩猟ができるようになるということだけではなく、生活全般にわたる価値観の転換をもたらしました。
この章では、著者が特に印象に残ったエピソードを紹介しながら、狩猟がもたらす心の変化について詳しく語っています。
それは、彼が狩猟を通じて得た真の豊かさの象徴でもあり、私たちが現代社会で忘れがちな本質的な価値を再発見する助けとなるでしょう。
獣肉はおいしい
皆さんは「獣肉」と聞くとどのような印象を持つでしょうか。
臭い、硬い、まずい、などのネガティブなイメージを抱くかもしれません。
しかし、著者の経験からわかるように、正しい技術と心構えを持てば、獣肉は驚くほど美味しいものになるのです。
狩猟を通じて捕らえた獣肉は、まさに「新鮮そのもの」。
特に、著者が取り組んだ生け捕りによる肉は、ストレスをかけることなく仕留められたため、肉質が良くなるのです。
彼が自ら解体して感じたのは、肉の色艶の違いや、脂肪と赤身のバランス、さらに調理方法によってどのように変化するかということでした。
彼は自ら体験した調理法やレシピを丁寧に紹介しながら、獣肉の美味しさを伝えていきます。
例えば、イノシシ肉を使用したシチューや、シカ肉を使ったカレー、あるいは炭火焼にした際の香ばしさは、現代の食材では味わえない独特の体験になっています。
彼のレシピはシンプルでありながら、ご家庭でも再現できるもので、誰でも挑戦できるところが魅力です。
また、近年の健康志向の高まりとともに、獣肉は見直されつつあります。
自然な環境で育った獣肉は、高タンパク質、低脂肪とされ、健康にも非常に良い影響を与えるとされています。
著書では、こうした獣肉の栄養価の高さについても触れ、食への意識を高めるきっかけを提供しています。
自然の中で豊かに暮らしたい
狩猟を通じて、著者は自然の大切さを再認識します。
現代の生活は便利で快適ですが、その裏には知られざる自然との関係が失われている現実があります。
彼が狩猟を始めた理由の一つは、自然の中で本当の豊かさを感じたかったからです。
著書の中では、自然の中での生活の美しさや喜び、さらには自然と調和して生きることの重要性について多くのエピソードが紹介されています。
例えば、朝の静けさや、獣道を探し当てる瞬間、根気強く待つ狩猟の時間の中で彼が感じた喜びは、都会生活では決して味わえない薄幸な瞬間です。
さらに、彼は狩猟を通じて、環境や生態系に対する意識も変わります。
自然を大切にし、持続可能な方法で資源をてこ入れすることで、私たちの生活そのものがより豊かになることを伝えています。
狩猟という行為が、単なる「捕獲」から「共有」という側面へと変わっていくことの大切さを教えてくれるのです。
著者は、この狩猟生活を、自身の価値観を見つめ直す重要な方法として強調しています。
自然と共存し、獣との対話を通じて学び取るメッセージは、どんなに便利な現代社会に生きる私たちにも響くものがあります。
体が喜ぶ獣肉レシピ
狩猟から得られた獣肉は、ただ肉として消費するだけでなく、さまざまなレシピで私たちの食卓を豊かにしてくれます。
著者は、多くの実体験を基にしたオリジナルの獣肉レシピを紹介しており、その一つ一つが彼の愛情のこもった作品です。
まずは食材としての「獣肉」の特徴を踏まえたレシピです。
イノシシ肉のシチューや、シカ肉の炭火焼き、さらには燻製にすることで、肉本来の風味を引き立たせます。
これらの料理は、一般的な料理法とは異なり、動物の本来持つ旨味を引き出すことができるため、一度口にすればその美味しさに驚かされることでしょう。
また、彼は季節や自然環境に併せたレシピを考案し、食材に対する感謝の念を込めています。
大量生産された食材と違い、獣肉にはその時々の自然の恵みが込められています。
そのため、彼が提案するレシピは、単なる料理ではなく、自然とのつながりを感じるものとなっています。
さらに、著書内では生活全般における「食」の重要性を再確認すべきであると提案しています。
手間暇かけて料理をすることは、食材への理解を深め、自然の恩恵をより一層感じるプロセスなのです。
まとめ: 自然と生きる実践を通じての学び
『山の獣を獲って、解体し、おいしく食べる!』は、狩猟という一見ストイックな世界を通じて、自然の価値、生命の大切さを再認識させてくれる名作です。
著者の辺土正樹さんが実際に体験した狩猟の苦悩と喜びは、私たちに何を伝えようとしているのでしょうか。
彼の旅は、ただ捕獲するだけでなく、その先の「命をいただく」ことの意味を問いかけます。
自然と共生して生きることは、現代の生活から忘れ去られがちな大切な視点です。
この著書は、私たちにその価値を思い出させてくれる素晴らしい資料となるでしょう。
狩猟を通じて、著者は自らを見つめ直し、自然との関係性を深めました。
その過程で得た知識や経験は、読者にとっても大いにインスピレーションとなるはずです。
狩猟生活は、ただお肉を獲ることだけが目的ではなく、豊かな人生を生きるための一つの道であることを、彼の経験を通じて感じていただければと思います。
この本を手に取ることで、あなたも自然との調和に目覚め、人生観を広げる新たな視点が得られることでしょう。
自然を尊重し、食を大切にすることの意味を再認識させられる著書。
ぜひ、多くの人々に読んでいただきたい一冊です。